ディスプレイ電源切って映る顔に 脅威覚ゆる一人居の貸部屋 |
真横から差した西陽にざっくりと 斬らるゝポプラの陰に猫の死骸 |
濁り目に「今日のニュース」は遠くなり 「世界の窓」をぱたんと閉じる |
鞘抜いて果物ナイフの持つ狂気 確かめてみる独り深夜に |
憂鬱と憂愁のあわいにて 星を閉じ込め蹲る夜 |
覗けども うつろ 叫べども 還らず 嘆けども 無言 静かなる 無為の日々 |
陽気には人を狂はす力有り 花見を遠く見乍ら歩く |
腐り池釣り糸垂らすその先に 何を釣る気か分からずに向かう |
綺麗だと指に挟んだ髪の毛の 余りの艶が少し |
似顔絵を 戯画と成りけり彼女の眼差し |