冬空に烏ばかりが高く飛び
  惜しみつも時はさやさやと零れ



水泡の中で微睡みたい気分
  日溜まりで叫ぶ胎樹の絶望



冬の陽を浴びて貪る街の眠り
  ()かぬ踏切時だけが過ぎて



晴天に私と呼ばれる影ふたつ
  とうめいに成って行くその眼差し



目覚ましが鳴った夢見て飛び起きる
  仮眠の後の混迷深く



読み直し「クズの山だ」と愕然と
  力を落とすその繰り返し



聳え立つ不可視領域見上げつつ
  ピッケル握るザイルも無しに



のどけやき小春陽洩れる屠殺場
  大地に負けぬ翼さえ有れば!



ハッとして合わぬ焦点を引き留む
  聞き逃したる懺悔は何と



怒りつゝ悪夢見据える目が欲しい
  決して竦まぬ足が欲しい



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