緋のドレス回ってみせて覗き込み
  「今日死ぬのよ」と黒髪の言う



口許ににやけ笑いを貼り付かせ
  息引き取れり友未満の男



卵食う泥雪 (でいせつ )の中卵食う
  春の間近が憂し田舎街



某か宇宙の中の一事態
  起こしたるやと疲れて眠る
    苦役の道に果てしは無くて



亀*ばかりずらりと並ぶ人間の
  知らぬ頭を祝う気になれず

*中国の古い隠語で「寝取られ亭主」のこと。



日溜まりに幽霊ひとり立ってゐる
  何を嘆くかも忘れた儘に



悍ましさ産着に(くる )み流したり
  墓標も持たぬ小さき声よ



赤蜻蛉千切って遊ぶ昔日の
  無邪気さは今何を見るらむ



落日が数分間だけ開示する
  真白い崖の取り囲む
    ビルの谷まで吐きそうに 独り



埋高 (うずたか )腐礫 (ふれき )匿してホリゾント
  今日も終わりと逃げる様に去り



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