余りにも近い夕陽に白鳥は 翼灼かれて川へ落ちにけり |
肋骨の下で犬等が吠えてゐた 夜はでれっと潰れて行った |
銭湯の帰りに買った唐揚げが これで満足してゐろと囁く |
シリウスに女神の顔を透かし見る その戦慄と不可解の裡に 死すのも可也とその時は思えた |
何が無し叫んでみても雪は降り 続ける若き戸惑い乗せて |
満月に陵辱されたる心にて 牙研ぐ我の目線はかなし |
星ひとつ無い濁光の空の下 迷うた我は道を探せり |
夜が明けた筈の谷間をぼおと見る 寝不足の目に光狂ほし |
我をして震撼せしむるものばかり 探し求めり次から次へと |
朝未だ来存在してみる気になって 深呼吸する憂愁ひとつ |