行く末に唯一点の曇り無く
  しっかり死んだドクロに成りたい



働いて終わってからが一日の
  始まりと覚ゆ
    深海魚の私海に(あくが )



切り裂いて出た(はらわた )を愛し気に
  食ふことが出来ぬ私を呪ふ



対岸にまた生活が待ってゐる
  ドブ色に光る海を見てゐる



黄の帯を締めたあの()の思い出を
  懐かしいと思いたいのに



我が父は我の憶へぬ我の写真
  飾ってゐる也額縁に入れて



服を着た有象無象が群を成し
  卑俗地獄を練り歩いて行く



あの腹にナイフ突き立て割ってみたし
  人を吸い吐くネオンの巨魁



尋常な怠け心の旗を差し
  我等は吠える「進歩は可能」と



戦ける我と我が身を省みて
  名付くるべきかどうかと迷ふ



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