森の香に包まれて尚あの街を
  引き摺り倒してやりたいと思ふ



本棚に生計 (たつき )助くる術は無く
  然れど世界は我と共に歩む



目覚めれば宇宙



膝折って呆れる程に溜め息を
  吐いてみる午後に蜻蛉は貪る



反射する昼の光に目をやられ
  黄昏の闇に逃げ込む私



振り返り昨日の悪夢居残れる
  のを確認す悪夢ばかりだ



立ち尽くす高積雲に我託す
  下界見下ろしてもまだ重く
    沈む沈む沈む沈む………



精込めて抽き上げられた地平にて
  無名の儘也我は泥也



烈風と成って鋼の溜息を
  吐いた私の惨劇の余後



犯人は誰かと問える愉しさよ



inserted by FC2 system