鬱剝 (うつむ )いて遠い星空思い出す
  どろどろににごった膿のかたまり



疾駆する天の下にて我はまた
  ぽつねんと独り取り残されて



涙目でひゃっこい氷ほおばって
  小さな夏の反逆日記



境内に金魚の墓をつくりをり
  つゝじの蜜を吸ってかくれる



葉っぱ食う白鳥達に罪は無く
  スケッチブック置く我の失楽



生白いカシオペア座の輝ける
  下校路の空(まが )く広がる



こそげ取る宇宙の表皮ぼろぼろと
  落ちて覗けるみみっちい顔



一言のひとつ仕種の背に億の
  (ことわり )透けて惑ふ十七



伸ばされて千切れたまゝの手のやうに
  光は露となってかゞやき



頭上には大空在りと思へども
  この肉体の暑く重くて



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