感じ取る心失くして考える
  春の陽のこの暖かさを



指先に蟻の這うのが面白くて
  金の苦労は波の彼方へ



四十雀 (シジュウカラ )短い時を生きつゝも
  空飛ぶか猶雲低けれど



倉庫裏踏み荒らされた螺子花の
  上に回れる犬が一匹



黙秘する木霊の様に我も又
  日々前にして憤怒(たぎ )らす



Coda読む何処へも行けぬ足先が
  影追って出る金が欲しいな



今朝の蟻から見てみれば空の覇者
  たる雲も又欠片に過ぎず



ずぶ濡れて春気に込もる雨が香に
  鼻うごめかす口惜しい世界



朽ち果てて行く春の午労働の
  汗鬱陶し我は売物



網張って巨視的時空の中にゐる
  置き去りにした私が何処かに



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