反照す俗で無能な下衆の顔 裏を捲って疲れるばかり |
霜付いたあばらの如き移動する 雲を見上げるがらんどうの冬 |
人と居て普遍化される風景に 苦しくはなゐかとどちらかが問ふ |
給料に見合っただけの儀式して 我等揃って皆売笑婦 |
そこに居た筈の一瞬前の我 嗤ってゐるのは何故だ 誰だ |
遠く聞く木霊の声に我乗せて 空に指紋を捺して散りたい |
立ち枯れる解体中のビルの前 入り陽は何も弁明してくれず |
とうめいな躯持ちたく刃を研いで 削り取ってゆくあの肉この肉 |
右手のみ密輸入された他者 憂鬱頻り |
溶け落ちた日々の底にて蹲る 暮らしの道は苛立つばかりで |