這い寄った骨付き肉に似た恐怖
  どろり脂汁 (しじゅう )の中で朽ち行く



殺したい饐えた獣の汗の臭い
  傷口に湧く蛆を山盛り



暑気の陰殺気芽生ゆる七月の
  晴れ空霞む奥へ奥へと



晒された(むくろ )(はら )に一輪の
  白い花咲くこれも世界か



余力もて己が牙先確かめる
  乱反射する無記名墓標



人間と成らぬ奴隷の獣達
  踏みつつ派手に没落する朝



泥水の底に紛れて呪詛散らす
  電信柱断線したる



文章を言葉切り貼りして繋ぐ
  解体済みの世界の上で



アンニュイな流れ止まった時代にも
  恐怖ばかりが顔のさばらせ
    無知は罪也と説く者も無く



甘苦い 白濁の 怠惰
  薄皮に 麻痺済みの 恐怖
    小さな手 狂い咲く夜
      沈み込み ブレて行く虹



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