春雷に醒め遣らぬ目の恨み込め
  雨音掻き分けドビュッシー聴く
    消ゆ法悦に怒りの拳



消費者として世界共掻き寄せる
  中毒患者としての(わたくし )



疲れ果て我が楽の音の息止まる
  静寂 (しじま )の波も消えぬ傍から



小雀の喰らふ肉にも目玉有り
  なぞ郷愁の膿み爛れゆく



迫り来る夜の恐怖に耐へ難ねて
  また身投げする夜の真淵へ



湖の底の涙の石眠る
  疲れ嫌悪に身を震わせて



青葉枯る季節半ばにして死せる
  下卑た恐怖に喰い荒らされてゆく



血球に己が日々見る洗面所
  狂い出したは身体 (カラダ )が先か



軋み上げ老朽してゆく牢獄の
  中で不機嫌顔の独り



月隠る砂漠の地平待ち伏せる
  痛む眼球何かを見たし



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