有為超ゑて星のごとくに成りたくて
  亡霊のごとく成りにし我よ



玉子焼熱を嗅ぎ取り箸で割り
  屍肉掻き出す死者に顔無し



手触りを知らぬ地球の丸さ哉
  没落して行く世界の意味は



春先の妖怪めいた風浴びて
  滲む心の(わなな )き萌え出づ



不純物ばかり目に付く年頃の
  瞳ぼやけてもう思い出せず



脳裏には春の日差しと喪失と
  居た筈の友と湧き上がる雲と



執拗に続き求める物語
  再生産の我は工程



内言し言葉の機能確かむる
  手触りの有る憎しき世界



弁当を売るやうに印刷す
  送り出さるゝトロイの木馬



汗かいた携帯電話の背に指を
  当てて他人の顔押し潰す
    憎さ止まらぬ躓きの石



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