初夢の悪夢の儘に夜明けて
  低劣なのがげに情け無く



静けさに口火は紅く燃え上がり
  己が鏡に煉獄映し



震え出す落ち葉の下の虫の楽
  堪へても尚意識は残り



月出でて彼方の星は消えにけり
  逆転劇に笑うのは誰



螢燃ゆ命焦がして空を見る
  捧げらるべき星々に会う



俯き加減の煮凝り玉子
  冬風の午後入り陽眩しく
    そっと彷徨う書物の山と
      私を三人引き連れて歩く



残照の中で分裂した儘の
  私の鼓動見られて遠く



割れぬ儘二重映しの窓抱え
  遠く逃げ行く叫び押し殺し



魔神の目闇に居残り赤々と
  見詰め続ける鏡の向こう



風吹いて静かに身体 (からだ )ずれて行く
  湖底の貝と慣れぬ密談



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