花びらの輪郭そっとなぞれども
  余りの距離に溜息ばかり



退屈にいかつい瘤が肥え太り
  破ってくれと惨めに喚く あゝ あゝ おろろろ



(くう )の底凝っと覗いて窓開ける>
  それでもやはり私は私で





———原稿紛失により2首欠落———





失はる昨日の記録悼みつつ
   記憶は尚も重ね書きされ



牙立てて認識事象を同定す
  次の一言の躊躇い深く



破裂しそうな卵の皮膜
  剥いてつついてニヤリと笑う
    多過ぎる声に痛みと怒り
      契約の門はもう直ぐ間近



乾いた骸を水膨れにして
  よっこら担いでこの世に生まれる
    汗水垂らして苦役をこなし
      おっ死ぬ時には元のズダ切れ



狂い咲く老いも若きも徒花の
  波を被って呆然と我



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