花びらの輪郭そっとなぞれども 余りの距離に溜息ばかり |
退屈にいかつい瘤が肥え太り 破ってくれと惨めに喚く あゝ あゝ おろろろ |
それでもやはり私は私で |
———原稿紛失により2首欠落——— |
失はる昨日の記録悼みつつ 記憶は尚も重ね書きされ |
牙立てて認識事象を同定す 次の一言の躊躇い深く |
破裂しそうな卵の皮膜 剥いてつついてニヤリと笑う 多過ぎる声に痛みと怒り 契約の門はもう直ぐ間近 |
乾いた骸を水膨れにして よっこら担いでこの世に生まれる 汗水垂らして苦役をこなし おっ死ぬ時には元のズダ切れ |
狂い咲く老いも若きも徒花の 波を被って呆然と我 |