ビルのごと他者の顔した我の血を
  吸い取る愚劣昇華する為
    剽窃加工した春の闇



対岸の見える浜辺をとぼとぼと
  歩く足跡刻印と成って



文字通り死の口付けに震えつつ
  覗いた肉と破れた皮膚と



赤黒い腐爛屍体のやうな晩
  酔った官能の中に棘虫



軽薄と知りつゝ波に乗る我を
  蔑む我が光見詰めて



闇に酔ふ掌の中の影の影
  こっそり匿して秘密の葬儀



雲の縁歩いて渡る冬の昼
  窓の向こうは陽がいっぱいで



幾重にも反射した影身に受けて
  爆発しそうなひとりの私



窓の無い街に暮らして見回せば
  進んで妄執負いたがる馬鹿



目が覚めて小さな虹と切り傷と
  痛みに気付いてまた泣く我と



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