凍る朝カッターナイフの刃の上に
  踊る天使の数を数える



ひび割れて狂った母の胎内で
  何を思ふや胎児の殻は



聴音器曝した胸に冷たくて
  (やまひ )得たると白く濁れる



潤滑油垂らして尚も軋む空
  生まれる場所を違えて来たか



灼熱の氷雨の如き精液の
  手遅れ感に手は無策にして



暴走に任せて玉は転がって
  溶けた指先ぽっきりと折って



交叉点 (ジャンクション )未完のものの吹き溜まり
  凝っと眺めて手を差し伸べてみる



折れそうな腰ひとつ抱いて吼え猛る
  星の残照の弁明成らず



渦を巻く肌着の下の夢幻境
  小さな星々瞬く闇よ



夕刻に失敗感が昇り行く
  愚にもつかない日々是悪夢



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