うんざりす骨盤の如きリノリウム
  見て疲れ果てる腸を裂く



巨大なる空費の日々の礎に
  何を据えよう傭われ兵は



濡れ落ちて小さき虫と成った夜
  我の芯棒ひっそりと(かしず )



肉の杖卑近な距離ににや笑い
  忍び寄る白天の面影



濁り空に倒れ伏す
  蝗の様に貪り弾ける
    犬の様に死に体を晒す
      赤き実と黄色の種



静かな贄に静かな星空
  無言の刃先に黒い人形 (ひとがた )
    美しく酔ふ深青の大気
      滴る赤に翳す掌



色づいた欅の下の殺戮者
  肉汁の雨はけたけた笑い



ぬめり落つ萎縮した殻ぱりぱりと
  食べる言の葉消し炭と化し



幼な子は憎し憎しと歯噛みして
  生まるゝ(さが )に腹立ちゐたり



処女雪を踏んで少女は独り行く
  喰い荒らす虫内に抱えて



inserted by FC2 system