赤い血を霜付く氷に溶かし込み
  穢土嫌悪の炎を燃やさん
    人の世の愚の顔を潰して回らん
      しゃかりきこ たんとんとん
      しゃかりきこ たんとんとん
        うんざりするよな痴鈍 (ちどん )な眼差し



残月と満月と野良猫
  遠吠えと街明かりと血流
    自動車と千切れ雲と猥濁
      憂鬱遠く暗く棚引きて
        夜景の裏側が捲れ上がって
          牙が積み重なって行く海
            ずんずん 重く 厚く 深く



突き立てたナイフで抉る肉切れの
  中に蛆虫探して歩く
    えんえん ろんろん 地獄はまだか



鈴虫を捻り潰してもいで行く
  詰まらぬ田舎の詰まらぬ一幕



吐き出した言葉の屑に(うず )もれて
  暮れる今日の日陽の色赤く



日に焼ける冬の大気の中に立ち
  無為が狂燥駆り立てる儘



滴った肉汁啜りしゃぶり付く
  我も肉也彼も肉也



西陽差す白内障の窓の枠
  じりじり死んで行く空蝉や



捻れつつ夜が深まり行く闇へ
  怨嗟を込めて歌わん我は



瑣末さを厭ひて我は床に就く
  穢れ払へず泥沼と化す



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