訪れた時刻が揃う瞬間に
  我立ち尽くし傍観者と成り
    終わりが来るまで取り残されて



掻き分けた鱗の向こう目がひとつ
  そっと手で触れ咬み付いた罪



たましいの 暗部より 湧きい出て
  形成す ものども ざわめき
    筆先に 力込め 呪いつゝ
      時倒し 釘を打ち 固定す
        それぞれに 叫び有り 声有りて
          谺成す 崩壊に抗う
            さすれば今日 したゝむる ざわめきは
              嘆けども 笑へども 過ぎ去れど
                こゝに見た 法悦と 戦慄を
                  せめて今 精一杯 記録せむ
  あゝ星霜の 桎梏よ
    意志挫く 広さよ
      生成す 宇宙の 変化そのものよ
        その火もて 私を 見てゐるか
          この声が 確かに 今 「存在」していたことを
            君は知って ゐるのか ゐるのか 知ってゐるのか



翳る陽に ひとり
  赤トンボ ふたり
    校舎裏の 悦楽



退屈に紛れて日々は遠くなり



枯れ葉散る薄紫の空虚感
  平板な雲に日常の澱



畸形児として曇天に生まれたり



半月や濁りに浮かぶ影ばかり



固い虚無呑み込んで尚我独り



昇る朝日に雲は乱れて
  歪む大気に視界雲って
    さあ一日の始まりが往く
      愚小なこの身が世界と歩む



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