滲み行く巨大な背骨貫いて
  飛行機雲は天を駆け行く
    (さやさやと夏の無惨な終わり)



べっとりと塩素混じりの雨の前
  閉じ籠められて行く街の中



独り嗤う烏の声を聞き乍ら
  殺意募らせて行く労働者



残り陽に積乱雲と蝶と赤
  嬉々として我葬送の準備



品格を疑う程に赤い薔薇
  厚くたゞれてとろけて落ちて



気が付けばそこにいっぱいの空



君よ赦しを請ふ勿れ
  星辰の毒は全身に廻り
    君よ助けを求むる勿れ
      やがて言葉と成って砕け散り
        君よ慈悲を希ふ勿れ
          裏切りの果てに寂滅へと落つ
  然れば(まなこ )を開いて見よや
    流るゝ雲のその行く先を
      恐怖を親しき友と思ひて
        君の屍体を食卓に饗せ



秋空の絵筆の遠き広がりに
  吸い込まれたし爆散したし



反動で煮え繰り返り切らぬ腹
  希薄に在った今日の憂鬱



憎むべき無知と愚妹と思考停止
  うじゃうじゃ居過ぎて発狂寸前



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