浜歩く媚びた腐海の臭い風
  本州の影だらんと伸びて



悍ましい記憶も我等売り飛ばし
  繁栄享受する炎天下



しづしづと狂ってゆける無為の午後
  ひとつふたつと瘡蓋剥がれ



蛮行を遠く離れた空の下
  違う蛮行に夜は彼方へ



(こうべ )上げ幻視旅行の明けた夜
  我何を為すべきやと思ふ



星を見て我は宇宙に溶けにけり



隙を見て一箇の重い胃袋を
  逃れたい若い無思慮の儘に



月を見ることも無かりき日々の夜
  裏切って尚生きてゐる我



隠れたる目的因を弄繰って
  駄目にする日のペンの先の微笑
    合歓の下にて悔やんで酔ふか



目を合わせ深い数瞬を覗き込む



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