粘り着く屍肉漁りが群れる朝
  汗かいたシャツにじわじわと虫



欠けた月認識されぬ儘の実体
  峠越えの秋更地の頭脳



鬱積す疲労と共に夏に立つ
  うんざり感が膨らむどん底



済し崩し期限切れまで生きてゐる
  呪詛と倦怠交互に織りつ



じめついた朝の屍臭とゴミの山
  夏本番はこれからなのか



どす黒い紫の線を重ね描く
  濁った(まなこ )の悲鳴殺して



流麗な悪罵の毒素溜めて色
  はっきりさせてゆく(ゆう )グラス
    コツンコツンと足音響き



コウモリが焼けて臭へる熱帯夜
  ぐずつく雲に紫雷嗤ひかけ



厭らしいアンモニア臭のする道路
  「街道」と名の付くどん詰まり



血痕のみ残して巨躯は殪れたり
  何もかも全てうっちゃらかして



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