夏に霞んだ病の形
  明るい曇天に濁る陽遠く
    何処へさすらうのか鳥の影
      黒い絶望は扉の背後へ



赤の塔割れて崩れておらび立つ
  伸ばした手には何も掴まず



見つつ尚生きんと欲す我の名を
  呼ばわる声の聞こゆる限り



出所不明の儘我の
  許に届いた声ひとつ
    毒もて聞くか串刺しにするか



とち狂う夏の暑さを取り違え
  カッター腿に突き立てて裂く
    気晴らしにさえならない熱気



ゴミ溜めの中に頭を突っ込んで
  笑うしか無い貧しさの故



気散じに恋をしようと白痴女
  世の悲惨さを全て翻案



泥を食う様な暮らしのボロ家屋
  深夜の狂歩エサに事欠かず



化粧 (けそう )した譫妄状態にうるむ街
  寝苦しい夜に腐汁垂れ流し



湖の屍体は誰と踊る哉!
  エヘヘと笑ってボロボロと崩れる



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