風来るや世界再び火と成りて
  我の目覚ます歌へ歌へと



血塗れの昏い喜悦に更に牙
  立てゝ宴すよろこびの春



力ある大気に皮膚を濯われて
  天高く目指す我が後姿



吹き飛んだ一切合財の跡に立つ
  凝っと突っ立って穏やかに思案す



雲越しの白輪の下風受ける
  そっと(あてが )う優しい言葉



成り掛けの廃虚の河川敷きに腰
  下ろして眺む沈む風景
    中途半端に人影残り



隣見る空の座席に陽光が
  降り注ぐ山は青く萌ゑゆく



幾重にも畳み重なり雲の行く
  八方へ向けて外へ 外へ!



腕広げ愚劣を浴びて尚も立つ
  (いか )って笑って生を謳歌す!



見よやこの詰まらぬ儘の(わたくし )を!



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