影ばかり濃くなる春の風の中
  出口の見えぬ認識の罠



生活に縮まって行く出勤日
  馬鹿気た茶番の見物料か
    (出演料は一銭も出ぬのに)



語り聞く諸世界の王の夢語り
  この夢にこそ(まこと )の生在り



更に尚大きな口開け餌を待つ
  呑み込んだ国の煙吐きつゝ



雷撃の怒り遠くて延べ流るゝ
  黄金週間の余りの凡庸



ふと見れば露の表面目の映る
  置き去りにした(せい )地の匂い



凝っとして饐えた街路に耳澄ます
  夜の孤独に立つ影も無し



果て途無い頽落の星巡り来る
  果肉かぶりて汁落ちて行く



六ケ敷言葉に添えて花贈る
  死出の旅路は最後の茶番



のろのろと先へ進まぬ(から )時間
  飯食ふ為の多大な浪費



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