失速し凡人に戻る瞬間に
  またひとつ失くす貝殻を思ふ



狼と大地と火山と成る為に
  親しきリズムに合はせ踊る
    変幻は形を生命 (いのち )に与へ
      深奥の底へ我を拉し去る
        見よ見よ見よと星々がざわめき
          歌へ歌へ歌へと小鳥達が囀る
            歓喜して狂へや友よ
              憤怒してたたけや敵よ
                バラバラになるまで酔い尽くすのだ



穏やかに凡庸に成り行く日差し
  固い憂鬱舌でころがし



くたびれた団子虫と成る昼下がり
  異郷の自棄の泡に塗れる



高い空乱反射する空白の
  光眩しく我は雑草



新緑が茂り輝き突然に
  惨め溢れる嗚咽訳無く



切り抜いて貼り付けた空茫洋と
  広がる今日も平板な一日



雨流る濁り膨れて繋ぎゆく
  決壊までの凝固の一時 (ひととき )



導音の儘にて静止したる哉
  やがてそれのみ常態と化して



一番に鉦の音響く夜明け前
  露に紛れるだけの汚濁世 (おだくせ )



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