無人の街に川が流れる
  街灯の無い夜引き続く
    静かに気配を殺して聞けや
      黙す世界の閉じた息吐き
        我と彼方と惨劇と夢
          今宵は溶けて時間が止まる



物憂くてバラバラ死体と成った春
  掻き集めては零れる眼球



推測で辿る不透明な過去
  「私の」記憶と呼びたいのに何故



鳥の王屋根裏部屋の一皇国
  くるり回って陽の差す最期



感じ取る枝の断片(たきぎ )にす
  もくもく燃えてゆく出来損い



境界に立って影浴び弛緩する
  私ではなく誰かの視界



もの語りつむぐ声無く崩折れる
  リズム失ひし24時間



謎ばかりバラ撒いて逃げて行くばかり
  何処まで行っても私しか居らぬ



血肉を懸想と化した身体の
  空白誰の為のもの也



述懐の中に潜める出来合いの
  神話不様に息継ぎをする



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