水煙浴びて黙って目を瞑る
  空ろな思い出の流れに任せる



震え縮こまる星流の片隅に
  赤い目をもて求道燃やせり
    闘争と思索繰り返しては果て
      個々は果てても流れは生き続け
        やがて大いなる変容を成し
          何処へともなく静かに溶ける
            見よ白日の下の眼差し
              君の苦悩の一切の記録
                忘れ果てたる奔流の彼方
                  さんさんと輝く知と憂の歓呼



恍惚と苦痛と我の肌照らす
  誓いの証飲み干す夕べ



裏切りの赤い証明乾き切らず
  笑う我の頬に喪失の笑み



妖発したる眼を開き
  内腑抉りて破玄争う
    火の金色 (こんじき )の野に狼と鳥
      憎みて足らず虫たかる道
        あゝ紅の糸の末端
          逃れる先にはまた別の破滅
            避け得ぬ星の待つ青き生
              苦しめや今はまた生まるまで



吐き出せる言葉も尽きて仮眠取る
  話の続きを微睡 (まどろ )みに見る



風立ちぬ一気に目覚める卵の中身
  見よこの空に開く神秘を!



停滞が枯れ葉の様に吹き上がる
  流された血も新生を謳う



ぽっと向き変え山道を往く
  まだ咲き切らぬ彼岸花摘む
    かなしき牙を大空に立て
      別の現在を夢見て踊る
        あゝここへ来い名付け得ぬもの
          我が身捧げん白日の下
            こじ開けた扉に嬉し顔向け
              回帰して行く春風の中へ



春一番凍る身体 (からだ )が剥がれ飛ぶ
  別の私が顔見せに来る朝



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