照葉樹氷の大気を吸いにけり
  歩く我の肺で弾ける



欠伸する曇天が口に灼き付くる
  (せは )しない路面電車の音



肚底のしこりとなった玉磨く
  移し替えなど出来ない相談



それでもか重心移動拒否する道
  ここで判らなければ意味は無いのだ



裏切った可能性に我背を向けて
  癒す術とて無いこの疼き



内向きに爆発したる憂鬱が
  でろり凝固し息詰まらせる
    濁り目擦り灰色の光景
      見詰むれば尚惨めさは増し
        声上げ嗚咽する喉元に
          それでも消えぬ退屈と笑い



観客を罵倒し後は引き蘢る
  世界の中心に成れぬ口惜しさ
    見様見真似で声張り上げて
      祈り捧げる視線求めて
        いずれ安易な神の代用品



急速に増える点々上がる暗度
  見詰めた儘の我は病室
    見舞いの友は今日も訪れず



囚はるゝ金の悩みに食ふ気失せ
  値札貼り付けた額に疼き



灯芯を細めて緑色にする
  ガラス(へだ )てて答えぬ炎



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