寝取られた大地の上に立つ砦
  地下で嗤うは未来の死者共



ぎょろついた近眼の目に墨を塗る
  手に持った斧をぎゅっと握り締む



錯覚で流れた虹はモノクロで
  生まれた時代間違えてゐる



木々に充つ星の生命 (いのち )を聴き取って
  我(ねむ )るなり頭痛忘れて



行間を埋め尽くす意を引き千切り
  ズタズタにして路傍に捨てる
    誰が理解してくれるのかこれを



瞬間を捕え永劫に引き延ばす
  暴君に唾吐き掛けて詠む
    私は違うと呟き乍ら



濃紺の空の眼窩に月昇り
  延びた手達よ胎児を抱くか



(たい )らかに(ふち )の汚れた天蓋の
  被さる大地人の巣ばかり



風匂ふ体感質量増して来る
  万の手もて我天空を掴む!



風圧に濯い流さる目がひとつ
  夜明けは近い地平を迎える



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