未
(
ま
)
だ誰と比べていたり後ろ顔
ちまちま踊る青い火の橋
恐ろしい明日を頼りに生き延びる
喉元過ぎて行く熱さ哉
だゞ洩れた日常の罠食い込めり
何
(
ど
)
うしても我彼方を見たし
不可解な意味の欠落のっぺりと
部屋縮み行く我を閉じ込む
退屈を紛らして尚居残れる
灰の倦怠それぞれ低く
海潮の朝に照らさる海鴎
下劣な脚をその手で掴む
頭上より落ちて来る黒
避
(
よ
)
けようと
して首を切る誰も見ぬ間に
安っぽい聖書を捲る初日の夜
実験旅行の夜は更けて行く
さぁ我を呑みに来いと手を広げても
海は静かにたゆたうばかり
墓地から重い鞄を引き摺って
崖上を行く時間潰しに