肯定も否定もせずに頷いて
  お茶啜る也さも美味そうに



病室のベッドの下に哄笑を
  隠して眠る我は狂人



合致せる上と下との顎持って
  生まれたかった人食いの私



閉じた貝掌で凝っと待ってみる
  柱の筋に虚偽と幻影



幾重にも包み込まれた事実(いち )
  剥いたそばからまた新しい皮



白日の月に向かって独白す
  醒めた目で尚見てゐる私



寒さにも冷える身体 (からだ )は凍へたり
  我の脳髄かちんと割る音



日輪の中に埋もれた万華鏡
  遠い春の日を待つ昼下がり



飽く枯るゝ枯木の中に佇める
  透明な我ひっそりと沈む



文脈を変えて異なる色を見る
  二重の罠に広がる自嘲



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