声がして気が付けば今日は雨だった 変容してゆく肉体の線 |
純水の海に漂う白 欠けた生もて母胎へと還る 何処でも破産したる繁殖 |
混じり合う影のあわいに沈み込む 有為の眼差し飛行機雲捉え |
低空に澱んだ儘の気懈さが 嵐を起こす冷たき夕べ 身を任せては飽く迄揺れて |
消え遣らぬ線と光が区切る昼 醒めて融け行く夕闇の中へ |
空白より始まる年の朝に立つ |
曇天に葦原啼けり白鳥の まだ寝てゐたる故地の彷徨 |
じくじくと過去を釣り上げ行く散歩 疼く痛みがまた心地良く |
遠き日は一昔前カンカンと 電車の音が響き続ける |
夕焼けに三つ並んだ飛行機雲 初日暮れ行く薄く遠く高く |