紫陽花をきゅっと絞って汁を取る
  偽の名前も愛憎も全て



孤独なる樫の木の根に横になる
  沈黙していてくれる生命



躓いてよろけた拍子に台無しに
  なった我の子画鋲で留めて



述懐の中に混じった書き換えの
  跡言う勿れ石を投げるな



黒と白我と我が身に牙の跡
  どうしても咬むかどうしても言うか



白の影踏んで無言で佇んで
  何か見えるか小さき影よ



生産を続けてみたり鶏のごと
  自転車操業したる照明



絡まった鎖引き摺り雲の下
  踊る烏が海を眺める



祓ひたし大パノラマの下に居て
  薄汚れたる埃が一人



傾いた城の麓に這いつくばり
  夜越えて行くか小さき恐怖よ



inserted by FC2 system