臓物を引き出して尚美しい
  玉の汗落つ苦い汁飲む



逆立ちをしたる地球が舌を出す
  開き直って大声で歌う



ぐいと圧すぐちゃと潰れるだらだらと
  汁が(こぼ )れる線が無くなる



手に取って鏡の裏に誰も居ず
  それでも消えぬあの嗤う眼差し



(しん )と待つ来る災厄の足音を
  開いて我等の故地へと(かへ )



朽ちかけの墓の居並ぶ港町
  優れて固いパンの塩味



悩めるか汚泥の中に唯一人
  ずぶずぶ沈む黄金の羽根



千切れ雲総出で動く冬の雲
  卑小な生の白い殻厚く



血のごとくにこやかにわらう茜雲
  くるくる落ちて燃える死んだ葉



詩心も冬眠したる素寒貧
  日銭が嗤うのに耐へ乍ら



inserted by FC2 system