キッと目を見据えて我は陶酔す
  何処へも行かぬ青い火ひとつ



漆黒の怒りの中に己が顔
  見る眼差しの鎖重くて



余波買って月光の下変身を
  せむと試む若さの故に



松林等身大の影を踏む
  わなわなと肩震わせて往く



人を呑み吐き出すだけの化け物の
  腹の脇にて文庫本読む



太陽が憎いか夜の異世界よ
  掌の中住まいする闇



人心ついた途端に耳鳴りが
  光(つんざ )く黒の血管



次々と生まれて来ては消える泡
  眺め続ける甲板の上
    寒気と私と飛沫 (しぶき )と太陽と



薄靄の中に現る巨大な目
  水彩画では描けぬ脅迫



ぽつぽつと死せる言語で唱へたり
  一瞬闇を開く力を



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