みずからの幻の中で溺れ死ぬ
  おろかな小人と夕焼けの空



山の魔と交感したる冬籠り
  白い化粧に紅点ひとつ



亡くなった仮面すげ替えにっと笑う
  太々しいのか操られているだけなのか



アンテナの先に見えたる金の虹
  拳を振って呼び掛ける虚し



安定の先に転がる熱的死
  私の顔は今どんな顔だ



見た儘の醜い身体 (からだ )持ち上げる
  何処へ捨てよか手を止め悩む



伸ばされた(かいな )を凝っと見詰める目
  罪の重さにずぶずぶ沈み



ボールペン出ぬ芯先を舐めてみる
  夢想の味にしては苦いな



隙間から洩れる日差しの中に立つ
  左右で色の違う影会う



削げ落ちた秋の残影はらはらと
  晴れが散らしてゆく容赦無く



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