退屈に全て麻痺した今日の生
  性と食との他には無辺



間延びする時間の大気冷えびえと
  落ちて行く陽は曇って見えず



盾も無き裸の生に寄り掛かる
  大樹の瘤を枕と決めて



どん詰まる言葉墓場に持って行くか
  疼く木枯らしどんどん冷えて



(くろがね )の巨躯に真っ赤な光映ゆ
  新しき祭祀に無言の了承



犠牲者を数うる貝が足らざるか
  砂粒でしてもまだ足らざるか



水槽に閉じ込められた儘の夜
  兵卒の休日はまた無駄に過ぎて



丁度今殺し終わったばかり也
  残る世界の直中に立つ



きらきらと飛び跳ねる(うお )水面に
  浮かんだ油陰影つくり



柿の種口中でねぶり転がして
  彼方の時間額縁に収まり



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