十字架とは何か異なる輝きを
  放ちて立てる洞窟の奥
    魂の群れ戸惑うか死すか



シナリオを書き換え続け未だ出来ぬ
  真に重要なのは細部か



切り換えた頭で闇を見詰めゐる
  深夜の川が街灯映し



深み知る私の牙の感触で
  鉄の味には錆びが混じって



借款を踏み倒すよな航海に
  鞄をひとつ着替えだけ持って



盟約を忘れた顔よ出て来るな
  影の中から忘れた頃に



死に惑う老人の手に甲虫
  不用なものが文明を支え………



どの手にも気を失った眼の欠片
  憂愁に声出しころころ転がす



嬉しやな今日は命日満月の
  光を浴びて狼に成ろう
    断崖の上でワルツを踊ろう



風に舞う火の粉の様な枯れ葉達
  燃やし尽くした季節の形



inserted by FC2 system