生魚腐ってゆくか無人港
  日が差して海ぎらぎら光り



乱気流花を散らして賑やかに
  季節が死んでゆく午後の道



厄払いするかの如く呪詛(つら )
  透明過ぎる空を眺める
    昨日の死者が照らされてゐる



さざ波の絶えぬ水面凝っと見る
  溢れ流れる光紋は白



天高く舞へるか我の白い翼
  この絶望を捨てて来い何処かに



瞬けるひとつの星と夜を明かす
  月の鎌による処刑待つごと



真夜中に開く扉を押し開けて
  私は歩く夜明けへ向かって
    ずしん ずしんと後悔重く
      柚子の香りを嗅ぎ乍ら
        待っていてくれと希い乍ら
          どう仕様も無く取り戻す為に



ひたすらに遠い記憶の不在有
  前進するしかないのか私よ



腹底に冷えびえと沈む消化不良
  崩れた夕べに憂鬱が溜まり



籠の底我等集へる昼の夜
  紅い三日月唱歌歌ひて



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