立ち枯れた椿の様に咲き揃う
  自嘲の味は蜜の如くに



足裏に響く故障した鼓動
  不整脈でも起こしそうな大地



一元化された視線を忘却の
  彼方に曝す山が雲吐く



寝不足に疼く頭の重さ哉
  電車の音がハロウを起こし



肌近い生活感の消え去った
  異国の街のホテルに独り
    群集が絵と成りて遠ざく



青春の不安と決意我に在り
  鏡見詰めて目を逸らさずに



肉に飢え獣の如くのし歩く
  力漲る一点に集まる



全体を成さぬパズルのピースたる
  我の言葉が流れ渦巻いて



風薫る澄んだ大気に耳澄ませ
  私呼ぶ声無いかと探す
    静かな時に沈んでゐたい………



太陽が滲む秋空高々と
  悲惨が翼広げて舞へり



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