風の間に掻き消されたるサイレンの
  音が遠くになりにける也
    赤いランプは幻覚のやうに



マッチ箱集めた作った様な街
  燃え広がるは尽きせぬ消費



後悔の薄い時間に募り来る
  戦慄の調べ気が狂いそう



半端な闇に浮かび上がった
  橋の下行く深夜の狂歩
    同じ街灯が何処までも続く続く………



勢い良く不妊と成れる翌日の
  肩に小さな穴開いた儘
    洩れた視線にgrimを返す



永遠の中にこっそり毒盛った
  書斎の寝床微睡みが続いて………



点と線空間を成すアルファベット
  鋭い切り口めりめりと裂いて



今は只自動化された整理屋か
  流れぬ言葉が腹の底に溜まり



どん冷えに冷えた胃の腑が縮まって
  固まってゆく枯れた夕べに



半球を縦切りにして中を見る
  潰れて何が何やら判らず



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