絞り出す乳酸液の塊を
  水に溶かして誕生を待つ
    どんな生命 (いのち )が生まれて来るやら



手遅れな夕日の前に唯一人
  首傾げ立つ影長く伸びる



ふと()いた溜息がまた見えて来る
  面白くないコメディーと化す



からからと風に舞ひたる包装紙
  ひたすら無駄に成り行く夕べ



何もかもくすんで見える終わり時
  眠りへ急ぐ家路を急ぐ



牢獄の中にも無限咲いたるか
 一念に念ず光の開くを



エンジンを吹かし底無し沼に突っ込む
  哀しいまでにお似合いな痴態



振り向いた後ろにぽかっと空いた穴
  おっかない口にまりと笑い



にちゃにちゃと爛れた海を這い進む
  潰れたでっかい貝が転がる



蝦蟹を食ふささくれに塩水が
  滲みる恨みの酸の如くに



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