照り返し受けて黙った儘の巨体
  静かに沈んで行く夜の海へ



世界の色が消えて行く
  静寂の音浮かび出て来る
    心静かに焦点を合わせ
      点の集まりのひとつと成れる



肉体が消えて行く也白と点
  森羅万象が一本の線に



赤に酔う白い波紋が彼方まで
  ひたひたと続く船上の圧怖 (あっぷ )



重力が我が感覚を裏切るか
  天地の支点が12°ずれたか



収縮を繰り返し尚産み続ける
  宇宙の生命 (いのち )を乗数で数える
    無数の一幕と無数の台詞/役者/視線



闇の無い空にぼんやり浮かぶ雲
  掻き乱さるゝ赤い満月



足運ぶ心の足も飛んで行く
  何処へ行けども私の風景



時刻差を地球半周して得た日
  かちりと何かが噛み合わさる音



ぐっちゃりと溢れ汚れた血塗れの
  空の下に立つ途方に暮れて



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