小さく千切れ行く雲に
  幻日のごと影が消え
    目の眩む闇が地上に降りて………



谺ばかりが騒々し
  谷間の底に独り立つ
    時間が流れるのを唯眺め
      今日が終わってくれるのを待つ
        百日千日一瞬に過ぎ
          徒らに長い眠りの時間



吹く風も濁った光までは逐へず
  ひとつしか星の無い秋の夢



馴れぬ儘片言どもり啜り行く
  跛引きひき固い論文



咆えるよに欠伸をひとつ大空へ



夜風に曝す濡れた唇
  黄色い稲妻深夜を裂いて
    啓示は強くいきなりに来て
      笑い止まらぬ崖縁の舗道



じんわりと冷えた両手を海の中
  浸し呟く「赦して下さい」



水底の空洞の中独り居る
  長い溜め息横切って行く
    静かな死臭ととても親しく



退屈も法悦も皆去って行く
  取り残された私がひとり



物質をエネルギーと見る関係と見る
  星の地核を爆発させる
    思い出されて行く未来の死



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