生の儘鮮血滴る存在が
  そこに在る也不可解なものとして



木の陰に覗く視線が匿れたり
  風景が私を脅かしてゐたり



旅情にて憂鬱を梳く船の上
  錆びを隠した手摺に凭れ



白濁す身を掻き混ぜて泡立てる
  私に気付いてくれる目は無く



自分から出た筈の言葉味わって
  みる古の呪文の如くに



明らかに違う目をした小鳥達
  じっくり歩く墓出来るまで



不可触の視線領域避け続け
  地下道を往く下流へと下る



街中の傍若無人な烏の声
  ふっと横切る別の断面



藤の花朝靄を受けぼやけたり
  ぼうと浮き出る拡散する色彩



句読点無しで続ける膠着語
  包丁捌きは読み人任せ



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