ぼろぼろの濡れ雑巾と成り果てた
  重い雨降る午後の図書館
    目覚め苦しく呼吸が出来ない



口開けたクリップの錆よれよれの
  縒れた原稿頁が判らず



逆光に濃くなる影が伸びて行く
  太陽の視線躱して逃げる



ぐったりと濡れた雑巾絞り上げる
  拭いてもふいても血が止まらない



ひんやりと固まるしこりジャケットの
  ポケットの中に蟠って巣



じっくりと饐えた臭いに腹括る
  この腐臭の中生きて行くのだ



俯いた視線の先の爪先が
  萎縮し果てる窮屈な巷



遠雷をぼんやり聞いて焦点を
  合わせる明日の亡霊に逢う



断片を繋ぎ合わせて蓄め込んで
  これが私と言えるのか私



飲み込んだ悲鳴拳の背で封じ
  悍ましき生堪えて生きる
    涙も怒りも勝手にさせて



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