餡パンを頬張りカレンダーを開く
  日々是消去されてゆく時



足音に怯えて止まる鈴虫の
  音の様に止まる自由な翼
    小さなストレス大きく積もり



地獄の日大挙して来る深夜行
  極彩色の悪夢の足音



不条理な人々の群れわらわらと
  腐肉に集まる蠅の如くに



絶句する軋みを上げる古いドア
  弾け飛ぶまで力を込めて



赤煉瓦夜露が降りて濡れてゐたり
  面影のみで今立つ倉庫



目を瞑る緋の影が火を運び来る
  高まる頭痛は割れて行くのか



柔らかな重い感触凝っと聴く
  研いだ眼差し大空へ向けて



竜涎香の鬚を切る
  大きな鉢を引っ繰り返す
    どろどろに溶けて流れる肉体



声の無い静かな悪夢に襲われる
  何処に置き忘れてきたか骨を



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