玻璃の腕口付けしたる美術館
  何かの扉がぱちりと開き



早朝に非常階段駆け下りる
  烏の群れが餌を漁れり



理不尽に怒る気力はまだあれど
  穴埋めるだけの惰性は無くて



後ろ向きに歩いて崖の縁に立つ
  多分背後には恐くない海



雨に濡れて佇む
  オスティナ−ト強まる
    幕が乱れ弾ける



織り散らる透き通る襞細め見る
  変転絶えず綴る行き先



絹の服解きほぐす様に開示する
  境界の底のリズムと永遠



飛行する地平彎曲色と光
  果て無き形成す前の存在



重層化したる大地に根を下ろす
  何処までも深く広く暗く



敷衍した小さな場面群れを成し
  やがて本流さえ向きを変え



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