バラバラな四肢を集めて組み立てる
  繋がらぬのは生きているから



自己申告したる民族国家作る
  その安呑さに胸焼けがする



ぎとぎとと油の浮いた湾岸に
  船虫の群れ今日も変わらず
    汚穢の快美ぎりぎりと強く



無間 (むげん )より助けてくれと頼む目に
  穴は狭くて一人でいっぱい



霧霞む廃者に独り空遠く
  渡る風には腐潮の匂い



結晶化したる憂愁きらきらと
  砂場の陰に崩れてゐたり
    廃滅したる魔都の断片



激越を堪えどうにか声殺す
  震える拳に鼓動脈打つ



傲岸な態度崩さぬ摩天楼
  墓碑銘の無い巨大な墓石



叱責を恐れる余り裏返る
  小さき蝦蟇と成る我の舌



雨漏りのする天上に堕天使が
  墜落してゆく受け皿無しで



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